IT委託で業務効率化!サービス内容や費用相場、選び方のポイントを解説

「IT人材が不足していて、日々の運用業務が回らない」「セキュリティ対策を強化したいが、何から手をつければいいか分からない」――このような悩みをお持ちではありませんか?
企業の成長にIT活用が不可欠となる一方で、多くの中小企業がIT人材の確保や育成に課題を感じています。その有効な解決策の一つが「IT委託(ITアウトソーシング)」です。IT委託を活用すれば、専門家の力を借りてIT環境を整備し、自社の従業員は本来のコア業務に集中できます。

この記事では、IT委託の基礎知識から、具体的なサービス内容、費用相場、そして失敗しないための委託先の選び方まで、分かりやすく解説します。

目次

  1. IT委託(ITアウトソーシング)とは?
  2. IT委託で依頼できる主な業務内容
  3. IT委託の契約形態
  4. IT委託のメリット
  5. IT委託のデメリット
  6. IT委託の費用相場
  7. 失敗しないIT委託先の選び方
  8. IT委託を成功させるためのポイント
  9. まとめ

IT委託(ITアウトソーシング)とは?

IT委託(ITアウトソーシング)とは、企業が自社のIT関連業務の全部または一部を、外部の専門的な知識や技術を持つ事業者へ委託することです。近年、ビジネスにおけるITの重要性は増す一方で、システムは複雑化し、クラウドやセキュリティなど高度な専門知識が求められるようになりました。

このような状況下で、すべてのIT業務を自社の人材だけで対応するのは、特に中小企業にとっては大きな負担となります。そこで、IT業務を外部のプロフェッショナルに任せることで、業務の効率化や品質向上を図り、自社のリソースをより重要なコア業務に集中させる動きが活発になっています。

注目される背景と市場の動向

IT委託が注目される背景には、深刻なIT人材不足があります。経済産業省の調査によると、2030年には最大で約80万人のIT人材が不足すると予測されており、多くの企業で人材の確保が喫緊の課題となっています。

また、働き方改革の推進やDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応といった経営課題を解決する手段としても、IT委託の活用が期待されています。市場調査レポートによると、国内のITアウトソーシング市場は年々拡大傾向にあり、多くの企業がIT戦略の一環として外部リソースの活用を積極的に進めていることが分かります。

参考:経済産業省「参考資料(IT人材育成の状況等について)」

IT委託で依頼できる主な業務内容

IT委託と一言でいっても、その業務範囲は多岐にわたります。企業の課題やニーズに合わせて、必要なサービスを組み合わせて利用することが可能です。

ITインフラの運用・保守・監視

企業の活動に不可欠なサーバーやネットワークといったITインフラは、安定稼働が絶対条件です。IT委託では、これらの機器が正常に作動しているかを24時間365日体制で監視し、障害発生時には迅速な復旧対応を行います。具体的には、サーバーの定期的なメンテナンス、ネットワーク機器の設定変更、障害の切り分けや原因調査などが含まれます。

ヘルプデスク・キッティング

「パソコンが起動しない」「パスワードを忘れた」といった社員からの問い合わせに対応する社内ヘルプデスク業務も、委託可能な代表的な業務です。また、新入社員の入社時やPCの入れ替え時に発生する、PCの初期設定やソフトウェアのインストール作業(キッティング)も委託できます。これにより、情報システム部門の担当者は、細かな問い合わせ対応から解放され、より戦略的な業務に時間を使えるようになります。

ソフトウェア・システムの開発や運用

自社で利用する業務システムの開発や、既存システムの保守・運用を委託するケースもあります。特に、専門的なプログラミング知識が必要な開発業務や、法改正などに伴うシステムの改修作業などを外部に委託することで、迅速かつ高品質な対応が期待できます。

セキュリティ対策の運用

巧妙化するサイバー攻撃から企業の情報を守るため、セキュリティ対策の重要性は日に日に高まっています。ファイアウォールの監視、不正アクセス検知、ウイルス対策ソフトの管理といったセキュリティ運用を専門業者に委託することで、より強固なセキュリティ体制を構築できます。専門家の知見に基づいた最新の脅威への対策が可能になる点は、大きなメリットと言えるでしょう。

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IT委託の契約形態

IT委託には、委託する業務範囲や関与の度合いによって、いくつかの契約形態があります。自社の目的や状況に合った形態を選ぶことが重要です。

契約形態 特徴 こんな企業におすすめ 契約形態と人材活用の適性
フルアウトソーシング IT戦略の企画から開発、運用までIT業務全般を包括的に委託 IT部門がない、IT人材が全くいない企業 請負
(包括的対応)
運用アウトソーシング サーバーやネットワークの運用・保守など特定の業務範囲を委託 ヘルプデスクやインフラ運用など特定の業務負荷を軽減したい企業 派遣
(運用支援)
スタッフオーグメンテーション プロジェクト単位や特定の期間、外部のIT人材を自社チームに受け入れる 特定スキルを持つ人材が急遽必要になった企業 フリーランスまたは派遣
(専門スキル補完)

フルアウトソーシング

請負契約との相性が良い形態です。
フルアウトソーシングは、企業のITに関する業務を企画段階から設計、開発、運用、保守に至るまで、全面的に外部へ委託する形態です。IT部門を丸ごと外部に持つようなイメージで、IT戦略の立案といった上流工程から関与してもらうことも可能です。ITに関する専門知識や人材が社内に全くいない場合に有効な選択肢となります。

運用アウトソーシング

派遣契約との相性が高く、運用支援に適しています。
運用アウトソーシングは、ITインフラの運用・保守やヘルプデスク業務など、特定の業務範囲に限定して委託する形態です。 多くの企業で採用されており、ノンコア業務であるIT運用を外部に任せることで、社内リソースをコア業務に集中させることができます。自社でIT戦略の主導権は持ちつつ、日々の定型的な運用業務の負荷を軽減したい場合に適しています。

スタッフオーグメンテーション

フリーランスや派遣契約と組み合わせることで、専門スキル補完に強みがあります。
スタッフオーグメンテーションは、特定のスキルを持つITエンジニアや専門家を、必要な期間だけ自社のチームの一員として受け入れる契約形態です。 自社がプロジェクトの管理・指揮を行い、外部人材はその指示のもとで作業を進めます。急なシステム開発プロジェクトで一時的に人手が足りない場合や、特定の専門技術が必要な場合に有効な手法です。

IT委託のメリット

IT委託を活用することで、企業は様々なメリットを享受できます。コスト削減だけでなく、事業成長を加速させる効果も期待できます。

コア業務への集中と生産性の向上

最大のメリットは、情報システム部門の担当者や兼任者が、問い合わせ対応やトラブル処理といったノンコア業務から解放されることです。これにより、売上向上に直結する企画業務や、自社の競争力を高める戦略的なIT活用など、本来注力すべきコア業務に集中できるようになり、企業全体の生産性向上につながります。

ITコストの削減と最適化

IT人材を自社で雇用する場合、給与や社会保険料、福利厚生費、採用・教育コストなど多額の費用が発生します。IT委託を活用すれば、必要なサービスを必要な分だけ利用できるため、自社で人材を抱えるよりもトータルコストを抑えられる可能性があります。また、専門家による効率的な運用で、これまで見えにくかった無駄なITコストの削減も期待できます。

専門知識の活用とサービス品質の向上

IT委託先は、IT分野の専門家集団です。自社だけでは対応が難しかった高度な技術や、最新のセキュリティ脅威に関する知見を活用できます。これにより、システムの安定稼働やセキュリティレベルの向上など、ITサービスの品質向上が見込めます。属人化しがちなIT業務を標準化し、担当者の退職による品質低下のリスクを防ぐ効果もあります。

IT人材の不足や採用課題の解消

前述の通り、多くの企業がIT人材の不足という課題に直面しています。特に、経験豊富なエンジニアの採用競争は激化しており、中小企業が優秀な人材を確保するのは容易ではありません。IT委託は、このような採用課題を解決する有効な手段です。外部の専門チームを、あたかも自社のIT部門のように活用できます。

IT委託のデメリット

多くのメリットがある一方で、IT委託には注意すべきデメリットも存在します。これらを事前に理解し、対策を講じることが成功の鍵となります。

社内にノウハウが蓄積されにくい

IT業務を外部に完全に委託してしまうと、運用やトラブル解決に関するノウハウが自社に蓄積されにくくなります。将来的に自社でIT運用を行いたい(内製化したい)と考えている場合、委託先に任せきりにするのではなく、定期的な報告会や技術共有の場を設け、積極的に情報を吸収していく姿勢が重要です。

情報漏洩のリスク

委託先には、自社の機密情報や個人情報へのアクセス権を与えることになります。そのため、情報漏洩のリスクはゼロではありません。委託先を選定する際には、プライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得状況を確認するなど、信頼できるセキュリティ体制を持つ事業者を選ぶことが極めて重要です。

認証マーク 概要
プライバシーマーク
(Pマーク)
個人情報の取り扱いが適切である事業者を評価・認定する制度
ISMS認証(ISO/IEC 27001) 組織の情報セキュリティマネジメントシステムが国際規格に適合していることを証明する認証

コミュニケーションコストの発生

社内であれば口頭で済むような簡単な指示や確認も、外部の委託先とはメールやチャット、定例会議などを通じて行う必要があります。これにより、意図が正確に伝わらなかったり、対応に時間がかかったりするなど、コミュニケーションコストが発生する可能性があります。スムーズな連携を図るためのルール作りや、定期的な意思疎通が不可欠です。

業務内容の変更や追加がしにくい

契約で定められた業務範囲外の作業を依頼する場合、追加料金が発生したり、対応を断られたりすることがあります。ビジネスの変化に迅速に対応するためには、契約時に業務範囲を厳密に定めすぎず、ある程度の柔軟性を持たせた契約内容にしておくことや、柔軟な対応が可能な委託先を選ぶことが重要です。

IT委託の費用相場

IT委託にかかる費用は、委託する業務内容や範囲、企業の規模によって大きく変動します。ここでは、一般的な料金体系と費用目安を紹介します。

料金体系の種類

IT委託の料金体系は、主に「月額固定型」と「成果報酬型」の2種類に分けられます。多くの場合、インフラ運用やヘルプデスクのような継続的な業務では月額固定型が採用されます。

料金体系 特徴 適した業務
月額固定型 毎月定額の費用を支払う。予算管理がしやすい。 インフラ運用・保守、ヘルプデスク、定例サポート
成果報酬型 対応した件数や時間に応じて費用が発生する。 スポットでのトラブル対応、PCキッティング
複合型 月額固定の基本料金に、対応件数に応じた従量課金が加わる。 ヘルプデスク(一定件数までは定額、超過分は従量課金など)

業務内容別の費用目安

あくまで一般的な目安ですが、業務内容ごとの費用相場は以下のようになります。正確な費用は、必ず複数の委託先から見積もりを取得して比較検討してください。

業務内容 相場費用(月額) 備考
ヘルプデスク・情シス代行 3万円~30万円 対象人数や対応範囲(電話、メール、オンサイト)による
サーバー・ネットワーク監視 5万円~50万円 対象機器の台数や監視項目の複雑さによる
セキュリティ運用 10万円~ 監視対象や導入するセキュリティ製品による

失敗しないIT委託先の選び方

IT委託を成功させるためには、信頼できるパートナー選びがとても重要なポイントになります。
以下のポイントを押さえて、自社に最適な一社を見つけましょう。

自社の課題と委託目的を明確にする

まず最初に、「なぜITを委託するのか」を明確にすることが最も重要です。「人手不足を解消したい」「コストを削減したい」「専門家の力でセキュリティを強化したい」など、目的によって選ぶべき委託先は変わってきます。自社のITに関する現状の課題を洗い出し、委託によって何を実現したいのかを具体的にしましょう。

委託したい業務範囲を定義する

次に、自社の課題解決のために、どの業務をどこまで委託する必要があるのかを具体的に定義します。「サーバーの監視だけを任せたいのか」「ヘルプデスクもお願いしたいのか」「将来的なIT戦略の相談にも乗ってほしいのか」など、委託範囲を明確にすることで、委託先との認識のズレを防ぎ、正確な見積もりを得ることができます。

実績や専門性を確認する

委託先の公式ウェブサイトなどで、これまでの実績を確認しましょう。特に、自社と同じ業界や企業規模の企業の支援実績が豊富であれば、業界特有の課題や商習慣への理解が期待でき、スムーズな連携が見込めます。また、対応できる技術領域や、エンジニアの資格保有状況なども専門性を測る上で重要な指標となります。

セキュリティ対策や体制を確認する

前述の通り、情報漏洩リスクを避けるため、委託先のセキュリティ体制は必ず確認すべき重要なポイントです。ISMS認証やプライバシーマークの取得有無に加え、具体的なセキュリティ対策(オフィスの入退室管理、データの暗号化など)について質問し、信頼できる管理体制が敷かれているかを見極めましょう。

複数の会社を比較検討する

委託先を選定する際は、最初から一社に絞らず、必ず2~3社から提案や見積もりを取り、比較検討しましょう。費用だけでなく、担当者の対応の丁寧さや提案内容の具体性、自社のビジネスへの理解度なども含めて、総合的に判断することが大切です。

IT委託を成功させるためのポイント

信頼できる委託先が見つかった後も、スムーズに委託を進めるためには、いくつか意識しておきたいポイントがあります。
委託はすべてを任せきりにするのではなく、パートナーとして一緒に取り組む姿勢が大切です。

委託先との定期的な情報共有

委託先に業務を任せきりにするのではなく、定例会議などを通じて定期的にコミュニケーションを取ることが重要です。業務の進捗状況や課題を共有し、改善点について一緒に議論することで、より良いパートナーシップを築くことができます。これにより、委託先も当事者意識を持って業務に取り組んでくれるようになります。

責任範囲と役割分担の明確化

障害発生時など、緊急の対応が必要な場面で混乱が生じないよう、自社と委託先の責任範囲と役割分担(SLA:サービスレベルアグリーメント)を契約時に書面で明確に定めておくことが不可欠です。「どこまでが委託範囲で、どこからが自社の対応範囲か」をお互いに正しく認識しておくことで、スムーズな連携が可能になります。

将来的な内製化も視野に入れる

現時点ではIT業務を委託する場合でも、将来的には自社で運用する「内製化」を視野に入れておくことも一つの考え方です。そのためには、委託先からノウハウを学ぶ姿勢が大切になります。マニュアルの整備や技術情報の共有を委託先に依頼し、徐々に社内に知識を蓄積していくことで、将来的な選択肢を増やすことができます。

まとめ

本記事では、IT委託の基礎知識からメリット・デメリット、委託先の選び方までを網羅的に解説しました。IT委託は、IT人材不足やセキュリティ対策の課題を解決し、企業が本来の業務に集中できる環境を整える有効な手段です。信頼できるパートナーを選び、継続的な連携を図ることで、IT委託は企業成長を支える強力な武器となります。

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