EV開発エンジニアとは?仕事内容・必要スキル・なり方・将来性をわかりやすく解説

EV(電気自動車)の普及が進む中、EV開発エンジニアという職種が注目されています。
自動車業界に興味がある方や、これからEV分野へのキャリア転向を検討しているエンジニアの方にとって、将来性の高い選択肢の一つです。

本記事では、EV開発エンジニアの仕事内容や必要なスキル、車載組み込みエンジニアとの違い、年収・将来性についてわかりやすく解説します。

目次

  1. EV開発エンジニアとは?なぜ需要が高まっているのか
  2. EV開発エンジニアが担当する主な仕事内容
  3. 車載組み込みエンジニアとの違いと関係性
  4. EV開発エンジニアに必要なスキルと知識
  5. 専門分野横断型エンジニアが評価される理由とは
  6. EV開発エンジニアになるには?
  7. EV開発エンジニアの年収と将来性
  8. EV開発エンジニアを目指す方へ

【この記事を読むとわかること】

  • EV開発エンジニアの役割と需要が増えている背景
  • 具体的な仕事内容と必要なスキル
  • 未経験・経験者それぞれのキャリアパス

EV開発エンジニアとは?なぜ需要が高まっているのか

EV開発エンジニアは、電気自動車(EV)に搭載されるシステムや部品の開発に携わる技術者です。
仕事内容は、モーター制御、バッテリー管理(BMS)、インバータ制御、評価・検証、ソフトウェア開発など、EVを構成する幅広い技術分野にわたります。

近年、EV市場の拡大により自動車のソフトウェア化・電動化が急速に進んでいます。
これまでの機械中心の開発体制から、制御、電気電子、ソフトウェアも絡む複合的な体制に変わってきており、EV開発エンジニアの需要は非常に高まっています。

EV化によって増える開発領域とエンジニア需要

EV化の進展に伴い、自動車開発の領域は大きく拡大しています。
代表的な変化として、次のような点が挙げられます。

  • ・ECU(電子制御ユニット)の増加
  • ・モーター制御や電力制御の高度化
  • ・バッテリー管理システム(BMS)の開発
  • ・評価・検証工程の増加

これらの開発には、ソフトウェアとハードウェアの両方に精通したエンジニアが求められます。
EVは従来の内燃機関車両(ガソリン車・ディーゼル車)に比べて制御範囲が広く、結果として開発工数が増加する傾向があるため、エンジニアの需要も拡大しています。

EV開発エンジニアが担当する主な仕事内容

EV開発エンジニアがどのような業務に携わるのか、関心をお持ちの方も多いでしょう。
EV開発エンジニアは、EVに関わるさまざまな技術領域を担当します。具体的には、モーターやバッテリーといった電動化部品の制御開発から、評価・検証まで幅広い業務に携わる点が特徴です。

ここでは、主な業務領域ごとに役割を紹介します。

モーター制御

モーター制御では、駆動用モーターの出力や回転を適切に制御するためのソフトウェアの開発を担当します。
トルク制御や回転数制御など、車両性能や走行安定性に直結する重要な領域です。

BMS(バッテリーマネジメントシステム)

BMSはバッテリーの充放電管理や劣化監視、安全制御を行うシステムです。
EV特有の技術領域であり、エネルギーマネジメントの中核を担います。

インバータ制御

インバータ制御では、直流電力を交流電力に変換し、モーターを駆動させる制御を行います。
電力変換効率や熱対策など、高度な電気電子技術が求められます。

評価検証

開発した制御ソフトやハードウェアが仕様通り動作するかを確認する評価・検証業務も重要な役割です。
実機試験やシミュレーションを通じて品質と安全性を確保します。

ソフトウェア開発とハードウェア開発の関わり方

EV開発では、ソフトウェア寄りの業務を担当する場合もあれば、ハードウェア寄りの業務を担当する場合もあります。
制御ソフトの実装を担当するエンジニアと、電気回路設計や評価を担当するエンジニアが連携しながら開発を進めます。

車載組み込みエンジニアとの違いと関係性

車載組み込みエンジニアとEV開発エンジニアの定義は、企業やプロジェクトによって異なる場合があります。

一般的に、EV開発エンジニアはEVに関わる開発職全体の総称であり、制御・組み込み・電気電子・評価などを含みます。
車載組み込みエンジニアは、その中でもECUのソフトウェア開発を専門とする技術者であり、EV開発エンジニアとは担当範囲が部分的に重なる関係にあります。

車載組み込み経験はEV開発に活かすことができるか

車載組み込みエンジニアとして習得したC言語、RTOS、および制御開発の経験は、EV開発においても活かすことができます。
これらの既存スキルを基盤とし、BMSやモーター制御といったEV特有の専門分野を習得することで、EV開発エンジニアへのキャリアチェンジが現実的になります。

EV開発エンジニアに必要なスキルと知識

EV開発エンジニアとして活躍するには、どのようなスキルや知識が求められるのでしょうか。EV開発は、ソフトウェア・電気電子・機械といった複数分野の技術が組み合わさる総合技術領域です。

すべてを完璧に習得する必要はありません。自身の専門分野を軸に周辺領域の知識を広げることで、市場から評価されやすいエンジニアへと成長しやすくなります。

ここでは、EV開発エンジニアとして特に重要とされる主要スキルを分野別に解説します。

制御・組み込みソフトウェア開発スキル

EV開発において中核となるのが、制御・組み込みソフトウェア開発スキルです。C言語やC++を用いたプログラミング、RTOS(リアルタイムOS)環境でのマルチタスク制御、割り込み処理やタイマー制御など、車載システム特有の技術が求められます。

モーター制御やBMSなどはリアルタイム性が重視されるため、処理速度やメモリ使用量を考慮した設計力も重要です。また、ECU開発経験やCAN・LINといった車載通信の知識、AUTOSARやMISRA-Cなどの規格への対応経験は、即戦力として高く評価されます。

ハードウェア(電気・電子)に関する基礎知識

EV開発では、ソフトウェアエンジニアであっても電気・電子の基礎知識が不可欠です。モーターの仕組みやインバータ回路、各種センサーの動作原理を理解しておくことで、より精度の高い制御設計が可能になります。

特に、EVでは大電力を扱うため、パワーエレクトロニクスの知識が重要です。IGBTやMOSFETなどのスイッチング素子、電力変換効率、発熱対策、ノイズ対策といった観点を理解することで、システム全体の安定性や性能向上に貢献できます。

バッテリー・エネルギーマネジメント(BMS)の知識

バッテリーとエネルギーマネジメントは、EVの性能や安全性を左右する重要な技術領域です。BMSでは、バッテリーの充放電制御、セルバランス管理、SOC(充電状態)やSOH(劣化状態)の推定などを行います。

これらの技術はEV特有の分野であり、専門性が高いことから市場価値の高いスキルとされています。BMSの知識があることで、EV開発の中でも幅広い領域で活躍しやすくなります。

機械工学・車両工学の基礎知識

EV開発では、機械工学や車両工学の基礎知識も重要な役割を果たします。車両構造や運動力学を理解することで、モーター制御や車両制御ロジックの設計に役立ちます。

また、熱設計やNVH(騒音・振動・ハーシュネス)に関する知識も欠かせません。EVはエンジン音がない分、モーターやインバータ由来の音や振動が目立ちやすくなります。

シミュレーション・解析スキル(MATLAB/Simulinkなど)

EV開発ではモデルベース開発(MBD)が広く採用されており、シミュレーション・解析スキルの重要性が高まっています。
MATLAB/Simulinkを用いた制御モデルの作成や検証は、開発効率と品質向上に直結します。

安全規格・品質管理の知識(ISO・機能安全)

自動車開発では、安全性と品質管理が非常に重視されます。特に、ISO26262は自動車の機能安全に関する国際規格であり、EV開発においても重要な基準となっています。

これらの規格への理解は、安全性を前提とした設計を行ううえで不可欠であり、エンジニアとしての信頼性を高める要素となります。

コミュニケーション力・チーム開発スキル

EV開発は複数の専門分野が連携して進めるプロジェクトであるため、技術力だけでなく、チーム内外との円滑なコミュニケーション力も重要です。

専門分野横断型エンジニアが評価される理由とは

EV開発の現場では、機械工学・電気電子工学・ソフトウェア工学といった複数分野を横断できるエンジニアが高く評価されています。これは、EVが従来のガソリン車と異なり、各技術分野が高度に融合したシステムで構成されているためです。

EV開発では、一つの課題に対して複数の専門知識が同時に求められる場面が多く存在します。分野横断型のスキルを持つエンジニアは、異なる専門性を持つチーム間の橋渡し役としても重要な存在です。

共通の技術言語で議論を整理し、システム全体の最適化を提案できる点が大きな強みとなります。また、単一分野では解決が難しい問題に対しても、多角的な視点から新たな解決策を導き出しやすいという利点があります。

EV開発エンジニアになるには?

EV開発エンジニアを目指す方法は、現在の経験や専門性によって異なります。
未経験の方と、すでに車載組み込みや電気系の経験を持つ方では、最適なキャリアパスが変わってくるでしょう。

ここでは、それぞれの状況に応じたEV開発エンジニアへの道筋を紹介します。

未経験からEV開発エンジニアを目指す方法

未経験からEV開発エンジニアを目指す場合、まずは基礎となる技術スキルの習得が必要です。

具体的には、プログラミング言語(C言語、C++)の学習から始め、組み込みシステムや電気回路の基礎知識を段階的に身につけていくことが重要です。オンライン学習プラットフォームや技術書、マイコンボードを使った実践的な演習などが有効な学習方法です。

最初のキャリアとしては、組み込みソフトウェア開発やECU評価・検証の職種からスタートするケースが多く、これらの職種では、EV開発に必要な基礎スキルを実務を通じて習得できます。
また、派遣エンジニアとしてキャリアをスタートすることで、複数のプロジェクトや企業で経験を積み、自分の適性や興味がある領域を見極めることもできるでしょう。

さらに、EV技術に関する専門知識を補強するために、パワーエレクトロニクスやバッテリー技術に関するセミナーや資格取得を目指すことも有効です。
たとえば、電気主任技術者やエネルギー管理士といった資格は、EV開発における専門性を示す指標となります。

車載組み込み・電気系からのキャリア転向

車載組み込みエンジニアや電気系エンジニアとしての経験がある方は、そのスキルを活かしてEV開発に転向できます。

    活かせる既存スキル

  • ・C言語やC++のプログラミングスキル
  • ・RTOS(リアルタイムOS)の経験
  • ・CAN通信やLIN通信などの車載ネットワークの知識
  • ・MISRA-Cなどのコーディング規約への理解
  • ・ISO26262やAUTOSARの知識

これらのスキルは、EV開発においてもそのまま活用できる強みです。キャリア転向を成功させるポイントとしては、EV特有の技術領域を補強することが重要です。

具体的には以下の知識を追加で学ぶことで、EV開発プロジェクトへの参画機会が広がります。

  • ・バッテリーマネジメントシステム(BMS)の知識
  • ・モーター制御の基礎知識
  • ・パワーエレクトロニクスの理解
  • ・MATLAB/Simulinkを用いたモデルベース開発のスキル

こうした既存の知識やスキルをEV開発の文脈でアピールできるように、ポートフォリオや職務経歴書を整備することも重要です。

たとえば、「車載ECUの組み込み開発経験を活かして、EVのバッテリー制御システムの開発に貢献したい」といった具体的なキャリアビジョンを示すことで、企業側の選考において評価される可能性が高まるでしょう。

EV開発エンジニアの年収と将来性

EV開発エンジニアの年収は、経験やスキル、担当する業務内容によって幅があります。
厚生労働省が提供する職業情報提供サイト「job tag」に掲載されている、自動車開発技術者や電気・電子系エンジニアなどの関連職種のデータを参考にすると、平均年収は500万円台とされています。

具体的な年収の目安としては、以下のような傾向が見られます。

  • 未経験・経験が浅い段階:年収350万円〜450万円程度
  • 実務経験3〜5年程度:年収500万円〜650万円程度
  • 高度な専門スキルを持つエンジニア:年収700万円〜800万円以上となるケースもあります

特に、BMS開発やパワーエレクトロニクス、ISO26262などの機能安全分野といった専門性の高い領域では、人材不足を背景に比較的高い年収水準で評価される傾向があります。

これらの数値はあくまで公的統計や求人情報をもとにした目安であり、実際の年収は企業規模、勤務地、雇用形態(正社員・派遣・契約社員など)によって異なります。

参考:job tag|厚生労働省

EV市場の今後とエンジニア需要の見通し

EV市場の将来性については、長期的には成長が見込まれるものの、短期的には市場の変動もあると考えられます。各国の環境規制強化やカーボンニュートラル政策により、自動車メーカー各社はEVへのシフトを加速させています。
一方で、充電インフラの整備状況やバッテリーコスト、航続距離といった課題もあり、市場の成長ペースには地域差や変動があるでしょう。

こうした市場動向の中でも、EV開発エンジニアの需要は、当面は安定した水準で推移すると見られています。その理由は、EV技術がまだ発展途上であり、性能向上やコスト削減に向けた技術開発が継続的に必要とされるためです。
また、自動運転技術やコネクテッドカー機能との統合も進んでおり、ソフトウェア開発のニーズはさらに拡大していくと考えられます。

さらに、EV開発で培った技術は、産業機械や鉄道、航空機、エネルギー貯蔵システムなど、他の産業分野にも応用可能です。
そのため、EV開発エンジニアとしてのスキルは、自動車業界に限定されない幅広いキャリアパスにつながると言えるでしょう。

EV開発エンジニアを目指す方へ

EV開発エンジニアとして働きたいとお考えの方にとって、派遣という働き方は多様な経験を積むための有効な選択肢の一つです。

派遣エンジニアとして働くメリットは、さまざまなプロジェクトや企業で実務経験を積みながら、自身のスキルセットを広げられることにあります。また、無期雇用派遣(常用型派遣)であれば、プロジェクト間の待機期間も雇用が継続されるため、雇用が途切れにくく、安定した環境で働くことができます。

BREXA Technologyでは、EV開発をはじめとする自動車開発プロジェクトに携わる機会を提供しています。モーター制御、BMS開発、インバータ制御、評価検証など、多様な業務領域の案件があり、ご自身の専門性や興味に応じた案件を選択できます。

EV開発は今後も発展が期待される分野です。
未経験の方も、すでに車載組み込みや電気系の経験をお持ちの方も、EV開発エンジニアとしての第一歩を踏み出したい方は、ぜひBREXA Technologyへご相談ください。

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